2021年3月、唐突に「海辺の出版社」を立ち上げた。
ひとり出版社ではあるが、全国の書店やアマゾンにも流通させられる、れっきとした出版社である。
作曲家としてゲーム会社に新卒入社し、「桃太郎電鉄シリーズ」の音楽を作ったことが社会人としてのキャリアの始まりで、その後作曲家として30年活動してきた。ここ10年は、ミュージカルの脚本と曲を書いてプロデュースもしてきていたので、近年知り合った方はそのイメージが強いと思うが、実は私と出版業界は縁が深い。
ゲーム会社を退職した後、経営コンサルティング会社に転職して、新規事業の企画職を経て、広報誌の編集長になった。その後、その仕事で独立起業したのが28歳のとき。カード会社の情報誌などを書いたり編集したり、金融機関や経営者向け情報誌の執筆編集などもした。
そのうち、経営者から「本を出したい」と相談を受けるようになり、いつしか経営者専門のブックライターとなっていった。自慢なのは、担当した書籍が全部ビジネス書ランキング1位になったことがあるということ。
そんな経歴があるから、ミュージカルを書いても「実在する会社や経営者の半生を描く」オリジナルものが多い。頭の中で考えたフィクションよりも、実在する人物が悩み苦しみ周囲の人と関わり合いながら、再生の道を見つける、成長していく・・・その方がずっと面白いと、私自身が魅入られてきたからである。
ところで私自身も、出版しないか、というお誘いを過去に何度かいただいたことがある。ただ、これまでずっと舞台やドラマを書く場所に常に恵まれてきたので、わざわざ「本で」出すことの意味が見出せなかったのだ。だから今まで自分の名前で書籍出版をしたことがなかった。
しかし、去年の秋から、どうしても自分で形にしてみたい本の企画が生まれた。
でも、どう考えても、従来の出版社で出したい、と思えなかった。業界のことを知れば知るほど、なおさら。
その理由は、出版大学の受講生にだけ話したいと思う。
こうして出版社を立ち上げた。
今は、年内既に複数の出版企画を動かしているので、それに奔走中である。
私が目指すのは、タイトルを量産し、短期間で消費していくような出版ではない。
「明日のあなたのとなりに」
ずっと置いててもらったり、未来への道しるべとしてもらえるような
特別な1冊。それを著者とともにつくる。ファンとともにつくる。
それを実現できるところは、自分でつくるしかなかった。だから作った。
そして、著者とライターを創り出す「海辺の出版大学」は
それを実現するためのエンジンである。